なぜ歯科メインテナンスが必要なのか
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今回は歯の健康を長く保つために欠かせない「定期検診」と「メインテナンス」の重要性についてのお話です。
なぜ歯科メインテナンスが必要なのか?
まず初めに、プラーク(歯垢)は、虫歯や歯周病などの主な原因となります。
これらの疾患を防ぎ、再発を防ぐためには、日常生活の中でプラークをしっかりと取り除くことが大切です。適切な歯磨きやフロスを用いたオーラルケアを行うことで、お口の中の健康を維持することができます。
しかし残念なことに、毎日きちんと丁寧にブラッシングやフロスなどのケアを行なっていてもご自身でとり切るのには限界があります。そこで、ご自身ではとり切れない部分(歯茎の下の歯石や歯と歯の間、1番奥の歯で磨きにくいが故に磨き残しが多くなってしまう箇所)などは歯科医院で歯科医師または歯科衛生士によるメインテナンス及びホームケアの指導を受けることが推奨されています。
定期検診とメインテナンス
定期検診は口腔内の総合的な状態をチェックするための診察で、虫歯や、歯周病、口腔がんなどの口腔疾患を早期発見・早期治療に繋げるためのものです。
一方メインテナンスとは定期的に行われる予防的なケアと治療を指します。主な目的は口腔内の健康を維持し、問題を早期発見・対処することです。
虫歯予防の効果:定期的な歯科検診は、歯垢や歯石を除去し、虫歯の原因菌が繁殖するのを防ぎます。また、最後にフッ化物(フッ素)を塗布するので、虫歯の発生をさらに抑えることができます。
歯周病の予防と管理:歯周病は、歯肉の炎症から始まり、進行すると歯を支える骨に影響を及ぼす可能性のある疾患です。定期的な歯科検診を受けることで、歯周病の初期兆候を早期に発見し、進行を防ぐための適切なケアを行うことができます。
口腔内の総合的な健康維持:定期的な歯科メインテナンスは、虫歯や歯周病だけでなく、口腔内全体の健康状態を維持する上でも重要です。例えば、口腔がんの早期発見や咬合(かみ合わせ)のチェックも行われ、全身の健康に影響を与える問題を早期に発見することができます。
研究結果から見た効果
メインテナンス:メインテナンスを受けている患者さんと受けていない人の歯の喪失率のデータをご紹介します。
Beckerらの研究によると歯周治療を行わなかった人たちは、1人につき5年間あたり1.8本の歯を失いました。そして歯周治療を行ったけれどメインテナンスを行わなかった場合は、1人につき5年間あたり1.1本の歯を失いました。歯周治療を行い、治療後もメインテナンスを行った人たちは1人につき5年間あたり0.5本の歯しか失いませんでした。上記の研究は調査対象や調査時期が異なるため単純には比較できませんが、メインテナンスは歯の保存に重要であることがわかります。〔厚生労働省-メインテナンスより引用〕
【図1】メインテナンスと歯の喪失のまとめ
歯の喪失の実態:高齢になると残っている自分の歯の数は少なくなり、後期高齢者の平均値は約16本で、約3割の人が総入れ歯を使っています。しかし昔に比べると歯の喪失状況は改善傾向にあります。国際的にみると日本人の高齢者は比較的歯が残っているといえるようです。歯の喪失は、年齢が高くなるほど進み、高齢者では歯のない人が多くなります。
【図2】は2016年に行われた全国調査(歯科疾患実態調査)における一人あたりの歯の数(一人平均現在歯数)を年齢階級別に示したものですが、高年齢層ほど値が低く後期高齢者(75歳~)では、本来持っている歯の数(28本)の半数近くが失われています。(後期高齢者で20本以上の歯を持つ人は46%です。)〔厚生労働省-歯の喪失の実態より引用〕
【図2】一人あたりの歯の数の平均値(年齢階級にみた一人平均現在歯数)
定期的なメインテナンスを受けている患者さんは、受けていない人に比べて歯の寿命が長く、治療費の節約にもつながることが示されています。これは、早期発見・早期治療が重篤な症状を防ぎ、結果として治療の負担を軽減するためです。
未来の健康な笑顔のために
虫歯や歯周病を早期発見して悪化する前に治療し、歯を長く健康に保つことを目的としているため、1年に3~4回受けることをおすすめします。
ですが、時期や回数については個人差があるので、かかりつけの歯科医院の担当医の指示に従うと良いでしょう。
歯科メインテナンスは、歯科における予防措置だけでなく、全身疾患に既往歴のある方とも深い関係にあるので重要です。
定期的な歯科検診やクリーニングを怠らず歯の健康を維持することで、全身の健康と笑顔を守っていきましょう。
お口の中で気になることやお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。私たちが全力でサポートいたします。
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