歯周病は手遅れになる?抜歯を避けるために今できること
歯周病
「歯がグラグラする」「歯茎から膿が出る」「噛むと痛い」
こうした症状がある場合、歯周病がかなり進行している可能性があります。
手遅れになると、残念ながら歯を抜くしか方法がないことも。
でも、手遅れになる前に気づき、対処すれば歯を残せる可能性は十分にあります。
今回は、歯周病が手遅れになるとはどういうことか、どんな症状があるのか、そして「今からできること」についてわかりやすく解説します。
歯周病の進行段階|どこまで進むと手遅れ?
歯周病は、以下のように徐々に進行します。
初期の段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときにはかなり進行していることも少なくありません。
【1】健康な状態
歯茎は引き締まり、歯としっかり付着しています。出血や腫れもありません。
【2】歯肉炎(しにくえん)
プラークや歯石が歯の周りに堆積し、歯茎に炎症が起こります。
ブラッシング時に出血することもありますが、歯槽骨(歯を支える骨)はまだ健康です。
→この段階でのケアなら、十分回復が見込めます。
【3】軽度歯周炎
炎症が進み、歯と歯茎の隙間が深くなり、歯周ポケットができ始めます。
歯槽骨もわずかに吸収され始め、歯茎の腫れが目立ちます。
【4】中等度歯周炎
歯槽骨の吸収が進行し、歯の動揺が見られたり、歯茎から膿が出たりします。
口臭や出血も強くなり、歯茎が下がって歯根露出をともない歯が長く見えるようになります。
【5】重度歯周炎(手遅れのサイン)
歯槽骨が大きく失われ、歯はグラグラ。
噛むと痛い、自然に抜けそうなど、日常生活にも支障をきたします。
→この状態では歯を保存するのが難しくなり、抜歯が検討されます。
「手遅れ」の歯を守るにはどうすればいい?
以下の症状が見られたら、すでに歯周病がかなり進行している可能性があります。
・歯が動く、浮いている感じがする
・歯茎が腫れていて出血しやすい
・噛むと痛い
・歯茎が下がり、歯が長く見える
・膿が出る、口臭が強い
この段階では、「歯を残せるかどうか」は患者さんの状態と治療の選択にかかっています。
進行を止めるには、専門的な歯周病治療と日々のケアの徹底が欠かせません。
手遅れと言われた歯を残せる可能性は?
「もう抜歯しかありません」と言われると、ショックを受けてしまう方も多いかと思います。
ですが、すぐに諦める必要はありません。
進行した歯周病でも、状態や条件によっては歯を残せるケースもあるのです。
1)セカンドオピニオンを受ける
歯周病の進行度や抜歯の判断は、歯科医師によって見解が異なる場合があります。
「本当にこの歯は残せないのか?」と疑問や不安がある方は、歯周病専門医や歯周病認定医の意見を聞いてみるのがおすすめです。
治療方針の選択肢が広がることもあります。
2)保存療法を試みる
たとえ歯が動揺していても、スプリント固定(歯を隣の歯と連結して安定させる処置)や、歯周ポケットの徹底的な洗浄・抗菌療法などを行うことで、炎症が改善し、一定の機能を取り戻せることもあります。
ただし、歯槽骨の大部分が失われている場合は限界があり、治療後の定期メンテナンスが重要になります。
3)歯周組織再生療法の可能性を探る
歯を支える骨が失われていても、エムドゲイン®(エナメルタンパク)などを使った歯周組織再生療法で、歯周組織の回復を図れることもあります。
これは限られた症例にしか適応されませんが、専門的な検査で適応かどうか判断できます。
4)抜歯後の選択肢を前向きに考える
もし保存が難しいと判断された場合も、「終わり」ではありません。
インプラント、ブリッジ、入れ歯など、その後の機能回復の選択肢があります。
特にインプラント治療は、周囲の歯に負担をかけず、しっかり噛めるという大きなメリットがあります。
ただし、重度の歯周病の既往がある場合には慎重な判断が必要です。
手遅れにしないために今日からできること
1)定期検診(3〜6ヶ月に1回)を受ける
→ 歯周ポケットの深さや出血の有無をチェック
2)正しいセルフケアを続ける
→ 歯ブラシ+歯間ブラシやフロスを習慣に
3)生活習慣を見直す
→ 喫煙は大きなリスク。禁煙・バランスのよい食生活を意識しましょう
まとめ|歯を守る最後のチャンスは「今」
歯周病は静かに進行する病気です。
そして「手遅れ」となると、抜歯以外に選択肢がなくなることもあります。
けれど、今の一歩が将来の歯を守ることにつながります。
「もしかして歯周病かも」「最近歯茎が気になる」と感じたら、今すぐ歯科医院でのチェックをおすすめします。
今ある歯を守るために、ぜひ一度当院にご相談ください。