あなたの歯茎は大丈夫?|今すぐできる歯周病のセルフチェック
歯周病
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歯周病は“サイレントキラー”とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま進行してしまう厄介な病気です。
実は、日本人の成人のおよそ8割が歯周病またはその予備軍だとされており、多くの方が気づかないうちに進行しています。だからこそ、日ごろから歯茎の状態をセルフチェックし、早期発見・早期対策を心がけることが大切です。
◼︎歯周病とはどんな病気?
歯周病とは、歯を支える歯茎や骨などの組織が、歯周病菌という細菌によって炎症を起こし、破壊されていく病気です。
歯周病の主な原因は、歯と歯茎の境目にたまるプラーク(歯垢)によるもので、プラークの中にはたくさんの歯周病菌が潜んでおり、この菌が出す毒素によって歯茎に炎症が起きます。
炎症が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされ、最終的には歯がグラグラになり抜け落ちてしまうのです。
歯周病は、心臓病や糖尿病、脳梗塞など、全身の健康にも悪影響を及ぼすことが近年の研究で明らかになっています。お口の健康は全身の健康の入り口ともいえるでしょう。
◻︎なぜ歯周病になるの?主な原因とリスクファクター
歯周病の主な原因は歯周病菌ですが、他にも歯周病を進行させるさまざまな要因があります。
1.毎日の歯磨き不足
最も大きな原因は、プラークコントロールが不十分なことです。歯磨きが不十分だと、プラークが歯にこびりつき、歯周病菌が繁殖しやすい環境が作られます。
2.生活習慣の乱れ
喫煙:喫煙は歯周病の最大の危険因子の一つです。タバコに含まれる有害物質が歯茎の血流を悪くし、免疫力を低下させるため、歯周病の進行を早めます。
「10年以上喫煙している人は、非喫煙者に比べると歯周病リスクが約4.3倍だと言われています。
歯周病と煙草の関係➖特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会より引用
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ストレスや睡眠不足:ストレスを感じることによっては体の免疫力を低下させ、歯周病になりやすい状態を作ります。
食生活の偏り: 栄養バランスの悪い食生活は、体の抵抗力を弱め、歯周病のリスクを高めます。特に、糖分の多い食事はプラーク形成を促進します。
3.全身疾患との関連
糖尿病:糖尿病患者さんは、歯周病になりやすく、また歯周病が悪化しやすいことが知られています。相互に悪影響を及ぼし合うため、両方の治療が重要です。
骨粗しょう症:骨がもろくなる骨粗しょう症は、歯を支える顎の骨にも影響を与える可能性があります。
4.遺伝的要因
歯周病のなりやすさには、遺伝的な要素も関与していると考えられています。家族に歯周病の人がいる場合は、より注意が必要です。
◼︎あなたの歯茎は大丈夫?歯周病セルフチェックリスト
以下の項目に当てはまるものがないか、ご自身の歯茎の状態をチェックしてみましょう。
【歯茎の健康度チェックリスト】
【結果の見方】
0~2個当てはまる方:現時点では歯周病の心配は少ないかもしれません。しかし油断せず、現在の良い状態を維持するために、毎日の丁寧なセルフケアと定期的な歯科検診を続けましょう。
3~5個当てはまる方:軽度の歯周病が始まっている可能性があります。気になる症状があれば、早めに歯科医院を受診して相談しましょう。セルフケアの見直しも重要です。
6個以上当てはまる方:歯周病が進行している可能性が高いです。放置すると歯を失うリスクが高まりますので、できるだけ早く歯科医院を受診し、専門的な検査と治療を受けることを強くお勧めします。
このチェックリストはあくまで目安です。症状が全くなくても歯周病が進行しているケースもありますし、逆にいくつかの項目に当てはまっても、適切なケアで改善できる場合もあります。
大切なのは、「もしかしたら」というサインを見逃さずに、専門家である歯科医師に相談することです。
◻︎歯周病予防のためのステップ
歯周病は生活習慣病の一つであり、毎日の心がけとプロフェッショナルケアの組み合わせで予防・改善が可能です。
【ステップ1】毎日の丁寧な歯磨き(セルフケア)/生活習慣の改善
歯周病予防の基本は、プラークを徹底的に除去することです。
正しい歯ブラシの選び方:ご自身の歯や歯茎に合った歯ブラシを選びましょう。ヘッドが小さく、毛先が細いものがおすすめです。
正しい歯磨き方法:歯と歯茎の境目に毛先を当て、優しく小刻みに動かす「バス法」などが効果的です。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまうので注意しましょう。
デンタルフロス・歯間ブラシの活用:歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間や、歯周ポケットにたまったプラークは、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで除去できます。これらを併用することで、歯ブラシのみの場合に比べてプラーク除去効果が格段に上がります。
洗口液の利用:補助的な役割として、殺菌成分が配合された洗口液を使用するのも良いでしょう。ただし、洗口液だけでプラークを除去することはできません。
禁煙:歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
バランスの取れた食生活:免疫力を高め、歯茎の健康をサポートします。
ストレスの軽減:ストレスを溜めないよう、適度な運動やリラックスできる時間を作りましょう。
よく噛んで食べる:唾液の分泌を促し、お口の中を清潔に保つ効果が期待できます。
これらの生活習慣の改善は、歯周病だけでなく、全身の健康にも良い影響を与えます。
【ステップ2】歯科医院での定期検診とプロフェッショナルケア
ご自宅でのセルフケアだけでは、どうしても磨き残しや取りきれないプラーク、そして石灰化した歯石が残ってしまいます。歯石は歯ブラシでは除去できず、歯周病菌の温床となるため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。
歯周病検査:歯周ポケットの深さや出血の有無などを確認し、歯周病の進行度を診断します。
スケーリング(歯石除去): 専用の器具を使って、歯にこびりついた歯石を除去します。
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング): 歯ブラシでは落としきれない汚れや着色を、専門の機械を使ってきれいに除去します。
ブラッシング指導:ご自身の歯磨きの癖や苦手な部分を把握し、効果的な歯磨き方法をアドバイスします。
定期的に歯科医院でプロのケアを受けることで、歯周病の早期発見・早期治療につながり、進行を未然に防ぐことができます。一般的には、3ヶ月〜半年に一度の定期検診が推奨されています。
◼︎歯周病は「治る」のか?
一度破壊されてしまった歯槽骨は、完全に元の状態に戻すことは難しいとされています。しかし、歯周病の進行を食い止め、歯茎の炎症を抑え、歯周ポケットを浅くすることは可能です。適切な治療と継続的なセルフケアによって、健康な状態を維持し、歯の寿命を延ばすことができます。
「治る」というよりは「コントロールする」という意識が大切です。糖尿病や高血圧と同じように、日々の管理が非常に重要になります。
まとめ:今日から始める歯茎の健康習慣
歯周病は、自覚症状が少ないまま進行し、最終的に大切な歯を失ってしまう可能性のある病気です。しかし、ご自身の歯茎の状態に意識を向け、適切なセルフケアと定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアを行うことで、十分に予防・改善が可能です。
LION歯科・矯正歯科には日本歯周病学会認定医の資格を持つ歯科医師が2名(理事長 横井宏幸先生、吉野 剛史先生)在籍しており、重度の歯周病治療から再生療法まで幅広く対応しております。
今回のセルフチェックリストで気になる項目があった方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
「私の歯茎は大丈夫かな?」「歯周病ってどんな治療をするんだろう?」
どんな些細な疑問でも構いません。皆様のお口の健康を守るお手伝いをさせていただきます。
健康な歯と歯茎で、いつまでも美味しい食事を楽しみ、自信を持って笑顔で過ごせるよう、一緒に頑張りましょう。