歯根破折とは?何度も腫れる原因と抜歯が必要になる理由を歯科医師が解説
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「歯根破折が見つかったので抜歯が必要です」
突然このように言われ、不安や戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
特に、痛みがほとんどない状態で抜歯を勧められると、「本当に抜く必要があるの?」「他に方法はないの?」と疑問に思われるのは当然です。
当院にも、他院で歯根破折と診断され、抜歯が必要と言われた方からセカンドオピニオン相談が多く寄せられています。
ここでは歯科医師の立場から、歯根破折と抜歯について分かりやすく解説します。
歯根破折とは何か
歯根破折とは、歯茎の中に埋まっている歯の根(歯根)が縦や横に割れてしまう状態を指します。
歯の表面にできるヒビとは異なり、外からは見えないため発見が遅れやすいのが特徴です。
歯根破折の主な原因
・神経を取った歯(失活歯)で歯がもろくなっている
・強い噛みしめや歯ぎしり
・加齢による歯質の劣化
・過去の被せ物や土台の影響
特に、神経を取って長年経過した歯は歯根破折が起こりやすい傾向があります。
歯根破折の症状|痛みが出ないこともある
歯根破折の症状はさまざまです。
・噛んだ時の違和感や軽い痛み
・歯茎の腫れや膿
・被せ物が何度も外れる
・特に症状がないケース
「ほとんど痛くないのに抜歯と言われた」という方も少なくありません。これは、破折の位置や進行度によって症状が出にくいことがあるためです。
なぜ歯根破折では抜歯が必要になることが多いのか
歯根破折で抜歯が選択されることが多い理由は、歯の構造上、修復が難しいためです。
歯根に入ったヒビや割れ目から細菌が入り込むと、歯茎や骨に炎症が広がります。歯根は歯茎の中にあるため、完全に密閉・修復することが難しく、治療をしても再発を繰り返すケースが多いのが現実です。
そのため、長期的な口腔環境を守る目的で抜歯が選択されることがあります。
歯根破折の診断が難しい理由の一つに、肉眼や通常のレントゲンだけでは破折線が確認できないことが挙げられます。
当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を用いた拡大視野での診査・診断を行い、歯根の状態をできる限り正確に確認しています。
これにより、安易に抜歯を判断するのではなく、歯を残せる可能性がないかを慎重に見極めることが可能です。
抜歯を避けられるケース/難しいケース
歯根破折でも、状態によって判断は異なります。
【抜歯を避けられる可能性があるケース】
・破折が非常に浅く、位置が限定的(歯根の破折でなく、歯冠のみの破折だった場合)
・歯周組織への影響が少ない
・治療後も破折線が広がり再発のリスクがある可能性をご理解いただける方
【抜歯が難しいと判断されるケース】
・歯根が縦に大きく割れている
・炎症が骨まで広がっている
・症状を繰り返している
正確な判断には、マイクロスコープやCTなどを用いた精密な診断が重要になります。
他院で「抜歯」と言われた場合の考え方
抜歯と言われたとき、「すぐに決断しなければならない」と感じる必要はありません。セカンドオピニオンを受けることで、診断や治療方針を客観的に確認できます。
当院でも、「本当に抜歯しか選択肢がないのか知りたい」というご相談を多くいただいています。
抜歯後の治療選択肢
歯根破折で抜歯を行った場合、その後の治療にはいくつかの選択肢があります。
インプラント:周囲の歯に負担をかけにくい
ブリッジ:固定式で違和感が少ない
入れ歯:比較的身体的負担が少ない
それぞれにメリット・デメリットがあるため、口腔内の状態やライフスタイルに合わせた選択が大切です。
早期受診の重要性
歯根破折は、早期に発見できれば周囲への影響を最小限に抑えられる可能性があります。
違和感や不安を感じたら、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
FAQ|よくある質問
Q. 歯根破折はレントゲンですぐ分かりますか?
A. レントゲンやCTでは明らかに破折している場合以外は分からないことがほとんどです。マイクロスコープで直接見て確認することが必要です。
Q. 痛みがないのに抜歯と言われることはありますか?
A. はい。症状が出にくい歯根破折もあります。
Q. 歯根が破折した歯は必ず抜歯になりますか?
A. 抜歯になることがほとんどですが状態により保存が可能な場合があります。精密な診断が重要です。
まとめ|抜歯と言われて不安な方へ
歯根破折は判断が難しい疾患の一つです。抜歯と言われて不安な方も、まずはご自身が納得できる説明を受けることが大切です。
横浜で歯根破折や抜歯についてお悩みの方は、どうぞ一度ご相談ください。



